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2025.12.04
婚活なんて、正直ずっと避けてきた。
理由は単純で、「効率が悪そう」だったからだ。プロフィールを作って、写真を撮って、やり取りを重ねて、ようやく会ってみても、うまくいかなければまた一から。そんな繰り返しに、時間も気力も削られていく気がしていた。その繰り返しに時間と労力をかけるくらいなら、仕事をしていた方がいい。そう思っていたし、実際そうしてきた。
僕はSEとして、日々論理と仕様に従って動く世界にいる。バグには必ず原因があり、同じ条件なら再現できる。だからこそ、感情や相性のような曖昧で定義できないものに向き合うのが、昔から苦手だった。
人との会話も、どこかぎこちなくなる。雑談が続かない。相手の表情を読もうとしても、どこかで処理が止まってしまう。仕様書にない気持ちを汲み取るのは、僕にとってはバグの原因を探すより難しい。それでも、仕事では評価されてきた。納期を守り、トラブルを未然に防ぎ、チームの中で黙々と役割を果たす。それで十分だと思っていた。
恋愛も同じだった。学生時代、好きになった子がいたけれど、何もできなかった。話しかけるタイミングを何度もシミュレーションして、結局一言も話せずに終わった。「どうせ自分なんか」と思っていたし、仮にうまくいっても、続ける自信がなかった。
周りの友人が彼女をつくるたびに、「あいつにできて、俺にできないはずはない」と思いながら、どこかで諦めていた。社会人になってからも、マッチングアプリを試したことはある。プロフィールも工夫した。趣味や仕事のことも、できるだけ誠実に書いた。メッセージも丁寧にやり取りした。SEらしく、相手の反応を分析して、返信のタイミングや言葉選びも調整した。
でも、結果は出なかった。会ってみても、会話が続かない。相手の表情が読めない。自分には向いていないと感じた。何度かやり取りして、フェードアウトされるたびに、「またか」と思うようになった。そのうち、アプリを開くのも億劫になって、通知を切り、アカウントも消した。
そんな僕が結婚相談所に興味を持ったのは、ある日、職場の後輩が結婚したと聞いたときだった。彼は僕よりもずっと若くて、恋愛経験も少ないと言っていた。でも、相談所で出会った女性と、半年で成婚したという。「自分のことをちゃんと見てくれる人に出会えたんです」と笑う彼の顔が、なんだかまぶしく見えた。
そのとき、ふと思った。ちゃんと見てもらうって、どういうことだろう。僕は誰かに、ちゃんと見られたことがあっただろうか。そして、自分は誰かを、ちゃんと見ようとしてきただろうか。
それから数日後、気づけばネットで結婚相談所を検索していた。無料相談の予約を入れたのは、ほとんど無意識だった。正直、まだ半信半疑だ。予約してからも、「そこまでして結婚したいのか」と自問自答もした。
でも、これまでの自分のやり方でうまくいかなかったのなら、一度くらい、違うやり方を試してみてもいいんじゃないか。そんなふうに思えるようになった。婚活は、効率では測れない。でも、無駄とも限らない。そう思えるようになっただけでも、少しは前に進めた気がしている。
今週末、初めての相談に行く。何を話せばいいのか、どんなことを聞かれるのか、正直まだよくわかっていない。でも、少なくとも「自分のことをちゃんと見てくれる人がいるかもしれない」と思えるようになった。それだけでも、今までの自分とは少し違う。
この一歩が、どこに繋がるかはわからない。でも、今はそれを知りたいと思っている。
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